痛む人  京都市伏見区 あおば整骨院



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ストレスによって痛みが引き起こされている状態をTMSといいます。

Tension Myositis Syndrome の略称で、直訳は「緊張性筋炎症候群」といいます。

「筋炎」と書きますが、単純に筋肉に炎症が生じているという意味ではなく、「痛みを伴う筋肉の生理的変化」を指します。

 

ストレスによって痛みが生じる、という考えは、私たちの認識の中にも漠然とはありそうですが、

診断された患者からすれば、治療者から「お手上げ」だと告げられたような気にもなるかも知れません。

 

ところが、近年その考えが医学的根拠によって後押しされ、確固たる地位を築いているのをご存知でしょうか?

・椎間板ヘルニア

・肩関節周囲炎(五十肩)

・脊柱管狭窄症

・椎間関節症候群

・テニス肘

・繊維筋痛症

・足底筋膜炎

・シン・スプリント

・顎関節症

・尾骨痛

少なくとも以上のものは、TMSだと考えられています。

 

なぜストレスによって痛みが引き起こされるのか、そもそもストレスとはなんでしょう。

ストレス=生体への刺激に対する非特異的反応

・外的ストレス⇒環境的要因(温度、湿度、騒音、過労、外傷など)

・内的ストレス⇒心理的要因(怒り、不安、恐怖、悲しみなど)

 

「非特異的反応」とは、ストレスを受けた時に起こる体の反応のことで、以下3段階あります。

 

Ⅰ:ショック

心拍数・血圧の上昇

Ⅱ:抵抗期

ストレスに適応するのに最も適した状態

Ⅲ:疲憊(ひはい)期

長引くストレスに対応できなくなっている状態

 

これらは、ストレッサ―が自律神経中枢を刺激することによって起こる「全身適応症候群」と呼ばれるもので、

Ⅰ→Ⅱ→Ⅲと進むにつれて、慢性的な病態へと移行しています。

 

自律神経中枢が刺激されると、交感神経にスイッチが入り(戦闘開始!)、

心拍数と血圧が上がり【Ⅰ:ショック】

防衛(「迎え撃つため」もしくは「逃げるため」)に必要な筋肉に大量の血液を送ります【Ⅱ:抵抗期】

(逆に、防衛にはあまり関連がない臓器には血流量を減少させる調節がなされます)

 

一時的なストレス下であれば問題ではありませんが、持続的、かつ慢性的になると、

疲れ切ってしまい、ストレスに反応できなくなり【Ⅲ:疲憊期】

もはや自律神経が正常に働かなくなります。

 

また、自律神経は血液循環・呼吸・内臓や消化管などの調整にも深く関わっていますから、

自律神経のアンバランスは、さまざまな心身症を引き起こすキッカケにもなります。

※心身症・・・神経症やうつ病など、精神障害をともなう身体症状を除外した上で、発症や経過に心理社会的要因が密接にかかわっている身体疾患のことである。

 

TMSが痛みを引き起こすメカニズムの一つとしては、自律神経のアンバランスによる血流不足が挙げられます。

血流不足になると、血液の赤血球のヘモグロビンに結びついている酸素も届かないので、同時に筋肉は酸欠状態にも陥ります。

 

自律神経のアンバランスによる痛みの仕組み

上記の【Ⅱ:抵抗期】では、交感神経のスイッチオンに伴い、アドレナリンやノルアドレナリンが大量に分泌されるので心拍数と血圧は一気に上昇します。

◆ここで注意◆

・心拍数が上がるのは、心臓のポンプ作用で素早く体全体に血液をおくるため

・血圧が上がるのは、血管を収縮させて、血液の流れを速めるため(血管が広いと、流れがゆるやかになります)

 

ストレスが長期になると、交感神経はスイッチが入りっぱなしになり、ここで血管が収縮され続けることによっての弊害が出てきます。

ストレスによる緊張状態(血管の収縮は続く)

防衛に必要な筋肉以外の臓器にも血流をまわし始めるので、筋肉への血流割合は減少

それでも血管は収縮したまま(緊張状態維持!)

筋肉への十分な血流量が確保されず、筋肉は酸欠状態へ(虚血状態)

 

 筋肉の虚血状態とそれによって起こる変化

①血流が悪くなることによって、本来洗い流されるはずの発痛物質がうっ滞→筋肉痛

②酸欠状態が続くことによる筋収縮→筋肉の痙攣(けいれん)

③筋肉に分布している神経も同じように酸欠(筋肉よりも繊細なため、症状は重篤)→神経障害による痛み・知覚異常・筋力低下など

 

こうして「ストレスによって痛みが生じる」状態が出来上がり、痛みを伴う筋肉の生理的変化【TMS】の説明ができます。

 

「緊張性筋炎症候群」という名前ですが、「筋肉」の他に、「神経」、「腱・靭帯」もその標的となります。

 

TMSの重症度

ストレスの度合いやそれに対する耐性は100人いれば100通りです。

その為、重症度は以下の3つから総合的に判断されます。

①症状の強さ

②症状の継続期間

③痛みへの恐怖心による活動制限の程度(例えば、「痛くなったらどうしよう」という恐怖感から外出ができなくなったり、運動ができなくなったりする)

ここで重要なことは、TMSが重症な人ほど、ストレス下におかれていることを決して認めようとしない、ということです。

なぜそんなことが起こるのでしょうか?

ストレスにより生じる感情から目をそらすには、「痛み」ほどおあつらえ向きなものはありません。これがTMSの正体です。

 原因となる感情

「痛み」に目を向けさせてまで、一体どんな感情を隠したいのでしょう。

 

それは【怒り】です。

 

私たちは子供の頃から親や周囲の大人たちに、怒ることはよくないことだと教えられてきました。

また、「怒り」によって起こした行動は、大体がマイナスな事態へと向かってしまいます。

「怒り」に足元をすくわれた経験は、おそらくほとんどの人があるでしょう。

 

日常生活にあるものごとに対して抱く「怒り」は抑圧の対象になり、自分で抑圧してしまっていることにさえ気付かない場合、

代償としての痛みは大きく、また「怒り」も根深いものだと推測できます。

 

「怒り」の種類

 ①日常生活での、外的ストレスによる怒り

一日で一番長く過ごしている場所(仕事場、学校、自宅など)に原因がある

②幼少期に受けた心的外傷(トラウマ)による怒り

幼少期に受けたトラウマ(虐待、親からの愛情の枯渇、両親の離婚など)は決して消えることなく、

無意識の中にとどまり続ける

③自ら課したプレッシャーによる怒り(主に「タイプT」)

1. 完璧でありたい

人の上に立ちたい、成功したいという欲求が強い。

高い理想と道徳的規範を持ち、自己批判的で他人の批判に過敏。

2.人に好かれたい

認められたい、愛されたい、尊敬されたいという欲求が強い。

世間からは、良い母親、良い父親と思われたい衝動がある。

3.見捨てられたくない

たとえ年をとったり独りになったとしても、見捨てられたくないという無意識的願望がある。

4.満足したい

食べ物、喫煙、娯楽などに満足を求める。

5.強靭な肉体でありたい

たくましい身体、丈夫な身体、セクシーな身体を求める。

6.死にたくない

死は避けられない、という事実に対して無意識に憤慨している。

 

 治療法

起こらないようにするのはまず無理で、かえって怒りを抑圧することになります。

大事なのは、自分の中の怒りを認めることです。

そのためには、自身の心の動きに目を向けることが必要です。

自分の心の感情を自分で判断することなく、ありのまま受け入れることです。

怒りは、それに伴う行動に問題があるのであって、本来、感情の一つとして必要なものです。

必要以上に怒りを嫌悪し、怒りから目をそらす行為が、かえって怒りを蓄積させることになります。

起こるべくして起こった痛みなのか、ストレスが作り出した痛みなのか、判別はすぐには難しいのですが、怒りを観察することが大事です。

人体

 





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